完璧上司の秘密を知ってしまった件について

…結局、集中出来ずに仕事はほとんど進まず、お昼に入るのを機に気分を切り替える為に、社食に足を進めた。

営業一課に女子社員がいない!営業部長に、女子社員を!と、直談判したが、すぐ様却下され…

今は独り、紅一点で営業一課を支えている。
(…二課には、5人も女子社員がいると言うのに!部長のイケズ‼︎)

と、何度心の中で毒づいたか。

とは言え、凛はこの明るい性格のおかげで、多部署に渡って友人が多い。男女問わず。

だから、社食でひとりぼっちになることはない。

「…凛!」
(ほらね?)

「…って、新か」
「なんだよ、そのどうでもいい感じは?」

怪訝な顔で言う新。凛は、べつにーと、あしらう。

「…ほー、そんな態度でいいのか?」
「…なによ?」

「ぐてたまちゃん!、買ってきてやんない」
「ギャー!ゴメン!新様!私が悪うございました!」

そう言って本気で謝っているのか?いないのか?謝罪する凛を見て、新は、声を上げて笑った。

「はいはい…で、なに食べる?」
「んー、今日は、お肉を食べたい気分!唐揚げ定食にしようかなー」

「ふーん、あ、じゃあ、俺はおばちゃんオススメの焼肉定食にしよ」
「えー!いいなー!私も食べたい!」

そう言って指をくわえる凛を見て、新は、呆れ顔で言う。

「ガキかお前は?」
「だって、美味しそう」

「だったら、凛も同じのにすれば?」
「イヤ!」
「…は?」

凛の言葉に、片眉を上げる新。

「唐揚げも食べたい!」
「…欲張りな奴」
「うー…」
「犬か、お前は!」

新に頭をはたかれ、凛は新にもう一度唸る。

「…半分こな」
「流石!新様!」

キラッキラッに、目を輝かせ、言う凛に、降参したように、新は、両手を上げた。
…本当にいいコンビだ。その辺のお笑い芸人より、面白いかもしれない。

唐揚げと焼肉を半分こして、上機嫌で食べた凛だったが、食後のコーヒーを飲みながら、なんだか浮かない顔。

「…凛って、本当に忙しいヤツだな。今度はどうした?」

「…彼氏作った方が良いのかなー」
「…は?何を突然⁈」

凛の爆弾発言に、あからさまに驚く新。(まさか、好きなヤツでも出来たか⁈)

と、新は内心焦る。

「お兄ちゃんがさー、男は新だけか?って言うの」
「…余計な事を」

へ?と、間抜けな顔をする凛に、なんでもないって顔をした。