完璧上司の秘密を知ってしまった件について

怒ったり慌てたり、オロオロしたり、コロコロ表情を変える凛を見て、須藤課長は柔らかな笑みを浮かべた。

その顔を見た凛は、怒ることが馬鹿らしくなってしまい、思わず溜息をつく。

…そんな2人を見た遼もまた、笑みを浮かべて、2人から少し離れると、グラスを拭いたり、頼まれたお酒を用意したり。

…間も無くして、須藤課長は時計に目をやると、お金を置いて立ち上がった。

「…佐伯、帰るか?」
「…ぇ、…ぁ、はい」

…毒ばかり吐く須藤課長はやっぱり好きになれないが、一緒に居て、居心地いい。

凛は何だか、まだ帰りたくないような顔をして、須藤課長を見た。

「…また来てね」

そう言って、遼は2人に手を振る。須藤課長は手だけを上げ、凛は、微笑み頭を下げて店を出た。

…何を喋るわけでもなく、静かな夜道を手を繋ぎ歩く。

(…この手は好きだな)

と、凛は握られた手を見て思う。

…でも、その手は間も無くして離される。

「…おやすみなさい」
「…」

「…須藤課長?」
「…そんな目で見るのは、俺だけにしておけ」

(…へ?…そんな目って、どんな目?…ってなんで睨まれてんの⁈)

…一瞬怯えた目で須藤課長を見た凛だったが、…須藤課長のその目は、凛ではなく、凛の後ろに行ってることに気がつき、振り返った。


「…新?」