須藤課長に手を握られたまま、仲良く?二人で遼の店に入った。

凜の顔を見た途端、遼は、心配そうな顔で凜を見た。

「凜ちゃん、昨日は大丈夫だった?」
「…こんばんは、遼さん。・・・えぇ、何とか」

そう言って作り笑いを浮かべる。

「泥酔してたからね、無事に家に連れて帰ってもらった」
「・・・え・・・はい」

あまりに歯切れの悪い凜に、今度は疑いの眼差しを向ける遼。その目は、須藤課長に向けられた。

「…まさか、お持ち帰りしたの?」
「・・・」

(…この人はバカなのか?それに応えないとか、もう肯定してると言ってるようなものじゃないか?)

そんな事を思いながら、須藤課長を見た凜。

「…酔った子を襲うなんて」
「なっ?!遼さん!襲うなんてそんな物騒なこと言わないでくださいよ!私は決して襲われてなんていません!」

大きな声で言った凜。…周りの客が、目を見開きこちらを見ている。

「…バカだな、お前」
「…ぅ」

口に出して須藤課長に言われ、口を噤んだ凜。

「…襲ってはいないが、キスはした」
「~~~~~~っ!!!」

(バカはどっちだ!バカは!!!)

凜は、心の中で叫び声をあげ、毒づいた。