凛の答えに納得できない新。凛は固まったまま、新を黙って見上げている。

「…男として好きかってきいてんだけど?」

新の顔が男になった…いや、元から男なのだが。

「…そんな事、今まで考えた事ない」
「…じゃあ、今考えろ」

…周りには、まばらに人がいた。でも、カップルばかりで、凛と新のこの状況を気に止める人はいない。

「は、恥ずかしいから、この手、のけない?」
「いや」
「…」

即答され、凛は困惑顔。…今考えろと言われても…なんて、思いながら、目線を逸らした凛。

「…私は」

「…凛」

名前を呼ばれ、目線を向けた凛。

「…俺はずっと、ずっと凛の事が」

そこで、凛の携帯が鳴った。

「…あ、新、電話が」
「出るな」

「でも、あの」
「…今は、俺の事だけ考えろ」

「…やっぱダメ!電話が気になる!」
「おい、凛」

本当は、携帯なんてどうでも良かった。ただ、いつもと違う新に、どう接したらいいのかわからなかった。

「もしもし?」
『…⚫︎×駅に来い、5分以内』
「…は?」

それだけで、携帯は切れてしまった。誰かもわからなかった凛は、着信相手を確認する。

『須藤圭吾』

凛は目を見開いた。