「お、お兄ちゃんは今からお出かけ?」

なんとか話を逸らそうと話題を振った。

「…ん、今からデート」
「そ、そうなんだ!美雨さんに、よろしく!あ、また家に遊びに来てって言っといてね」

なんとか話題を逸らした凛は内心ホッとする。

「…で、こいつが凛の男か?」
「…へ⁈」

凛の後ろに立つ須藤課長を睨みながら、秋夜が言う。

「…か!彼氏とかじゃなくて!」
「…今まで一緒にいたくせに?」

「…」

確かに一緒にいたが、一緒にいる羽目になった理由を話すと、秋夜に頭をはたかれそうなので、凛は言えない。

「…久しぶりだな、圭吾」
「…あぁ」

…久しぶり?…圭吾?

2人の会話を驚きの眼差しで見る凛。

「…圭吾、凛と付き合ってるのか?」
「…今はまだ…まぁ、そのうち」
「ギャーーー!何言ってるんですか⁈須藤課長!」

「…課長?お前、凛の上司か?職権乱用もいいところだな」

秋夜の言葉に、須藤課長は秋夜を睨んだ。

「…俺は認めないぞ、お前みたいな男。…凛、悪い事は言わない。こいつは止めとけ…凛には、新がお似合いだ」

「…お兄ちゃん‼︎」

とんでもない言葉を残して、秋夜は愛車に乗って、去ってしまった。

(…どうしてくれるよ?この状況?バカ兄貴!)

凛は、心の中で毒づいた。