昨日と同じスーツを着た凛は、そっと寝室のドアを開け、須藤課長を探す。

(…うわー。…黙ってれば、本当にイケメン)

と、心の中で言う凛。

私服に身を包んだ須藤課長が、…眼鏡をかけて、新聞に目を通している。

「…あれ?須藤課長、目、悪いんですか?」

普段眼鏡をかけているところなんて見たことない。

「…普段はコンタクトだからな。目が疲れるから、休みの日は、眼鏡をかけている事が多い」

「そっちの方が素敵」
「…は?」

「いや、…インテリっぽいから」

と、苦笑いして言った凛は、須藤課長から目を逸らした。…本人に素敵なんて、言うもんじゃない。恥ずかしい!

凛の反応が可笑しかったのか、須藤課長はクスッと笑い、立ち上がる。

「…朝メシは?」
「…いや、ちょっと二日酔いで」
「たった三杯でか?」

須藤課長の言葉に、又しても苦笑い。

「…コーヒー淹れるから飲め。終わったら送るから」
「あ、はい、ありがとうございます」

…コーヒーを飲み終えた凛を須藤課長は自宅へと車で送り届けた。

「…朝帰りとはいい度胸だな、凛」
「…お、お兄ちゃん」

まさかの玄関先で、兄と遭遇してしまった凛。