完璧上司の秘密を知ってしまった件について

「…やっぱり、返すの止めた」
「え…えーっ⁈」

手のひらを返したように、そう言った須藤課長。もちろん凛は、驚いた。

「…くれた相手が悪かったなぁー」

何て言いながら、遼は凛たちの前から、他の客のところに、逃げるようにいなくなってしまった。

「…グス、そんなに好きなんですか?」
「…」

的はずれな事を言う凛に返す言葉もない。

(別にいらない)

と、口が裂けても言えない。…本気で、落ち込んでる凛。…気がつけば、何杯もお酒を飲んでいて(正確には、たった三杯だが)、カウンターに突っ伏していた。

「…飲み過ぎだね。寝ちゃったけど、どうするの?」

苦笑いしながら、遼が須藤課長に言う。

「…たった三杯で酔うとか、どんだけ酒に弱いんだ」
と、須藤課長は溜息をつく。

「…ちょっとイジメ過ぎじゃない?」
「…」

「…好きなのはわかるけどさ、ヤキモチでそこまでするのは可哀想」
「なっ⁈なんで、俺がこいつを好きとか、そういうことになるんだよ?」

驚きつつ、言い返す須藤課長に、遼はとどめを刺した。

「…何?自覚なかったの?女の子にそれだけ素の自分を出してる圭吾見たの初めてだけど?怒ったり笑ったり、拗ねたり…好きだから、見せられるんだろう?」

「…」