完璧上司の秘密を知ってしまった件について

…遅刻する事なく、会社近くの駅で降りた3人。

「…凛をよろしく」
「はい」

「毎度毎度懲りないね、その会話」

凛の横やりに、秋夜と新は同時に黙り込む。ずっとこんな感じだから、凛は2人を睨んだ。

すると、笑い出したのは秋夜。

「ま、頑張れ新。俺は何もできないけど、応援くらいはしてやる」
「…」

困惑顔の新の肩を叩いた秋夜は、終始笑いっぱなしで、会社へと向かった。

「もぅ、なんなの、2人して⁈」

プンスカ怒りながら、新の一歩先を歩く凛。

「…凛」
「ナニよ⁈」

「…昨日の晩、自分で言った事覚えてるか?」
「…なんか言った?」
「…」

(覚えてねぇのかよ!)

と言いたくなったが、ぐっと抑えた新。

「…何?私なんか変なこと言った?」
「…しらねー」
「…」

新の態度が気に入らない凛は、新のお腹を一発殴った。不意を突かれた新は、顔を歪める。

「…オトコオンナ」
「…バカ!」

朝っぱらから、喧嘩をした2人は、それ以上何も言わず、別々のオフィスに入って行った。

「…私が悪いんじゃないもんね」

と、一人つぶやいて、デスクに座る。

「あれ?…ない。…ない!」

昨日忘れたはずのものが見当たらない。

「私のぐてたまちゃん!」