完璧上司の秘密を知ってしまった件について

(う、うわー…血!…血が出てるよ、頬)

そんなことを思いながら、何度も謝る凛。

「本当にすみません!…これ」

ジャケットのポケットをガサゴソと漁った凛は、絆創膏を取り出すと、須藤課長の頬に許可もなく貼った。

「…何貼った?」
「…へ?絆創膏ですけど。血、血が出てましたか、ら」

(ヒーッ⁈めっちゃ睨まれてるよ?当たり前だけど、怖すぎる!どうしてこの人は、私の前だとこんなに怖いの?冷たいの?)

「勝手にそんな事⁈」
「ヒーッ、ごめんなさい!とりあえず応急処置はしましたから、えっと、あ、これ、どこに持ってけば?あ、同じですね?それじやー」

慌てて逃げようとする凛の手を、ガシッと、須藤課長が捕まえた。

そして、引っ張られ、凛は体を反転させ、あろう事か、須藤課長に突っ込んだ!

そして見事に、二人で倒れ込む。

…もう、これはお笑いでしかない。なのに、凛は、墓場行きを宣告された気分だった。

「…」

須藤課長はムクッと起き上がり、凛を睨む。

(どう考えても、私のせいじゃないでしょーよー)

そんな事を心の中で叫びながら、須藤課長を見ると、凛は思わず口に手を当てた。

その行動に、須藤課長は怪訝な顔をした。