晶がかよちゃん先生のところに行ってすぐ、隣りの男から笑顔が消える。さっきの甘い表情から一変して無表情になる。


「はぁ…アンタ、キャラ変わり過ぎ。いい加減、晶の前で猫かぶるの止めなさいよ。」

「無理。俺アキちゃんに嫌われたら生きていけないから。」


そう、この男、いつも幼馴染みの晶に猫をかぶっている。お気づきだろうか。この男、さっきまでの一人称は"僕"、それに対し今の一人称は"俺"だった。

「アンタ、器用なのに不器用よね。こう言うのを器用貧乏って言うのかしら。」

「物心ついた時からこれだから、今更変えられない。」

本当に別人。どうしようもないやつ。アンタがこんなだから晶に気持ちが伝わらないのよ。

「アキちゃんがどんどん大人になって、俺を見てくれなくなりそうで怖い。」

「アンタがヘタレだから伝わるもんも伝わんないのよ。さっさと告白しなさい。アンタの相談役なんてもう嫌よ。」

「それが出来たら十何年も苦労してない。」