それが伝え方なのです




「しずかくーん…」



離してくれない様子に情けない声で目の前の人の名前を呼ぶ。洋服越しじゃない素肌が触れ合ってる感触とか温度とか、なんというか、生々しくてドキドキする。


海で少し濡れた髪が額や首筋に張り付いているのがどことなく色っぽい。そのせいか自然に目が行ってしまう。


うぅ…だから静くんの肌に触れたいだなんて考えちゃって…煩悩むくむくだよぉぉっ!!破廉恥だ!!わたしは痴女か?!!



「こんな彼女でごめんんんーっ」


「うん?(また何か考えてる)」



恥ずかしさで手で顔を覆う。絶対に今の私の顔赤いよ。顔どころか体まで赤くなりそうだよぉ…


こつんと前に体を落として静くんの肩に額を当てるとよしよしと慰められるように頭を撫でられた。静くん、優しすぎる。


わたしがあんなことを考えていたなんて知られたら完全に引かれそうだ。


やよ、とすぐ近くで静くんの声が聞こえて柔らかいものが耳に触れた。



「ふぇ?」



驚いて顔を上げれば静くんの手が後頭部に回っていて一定の場所から動かすことができず、慌ててバランスを取ろうと目の前にあった肩に手を置いた。




「え、静くん?」



柔らかな笑顔を浮かべてはいるものの心なしかいつもより、こう…色気が混じっているような雰囲気。ほんのり自然に感じるようなやつじゃなくて静くん自身が醸し出しているような…どっちにしろ心臓に悪い!!