「ぷはっ」
冷たい!気持ちいい!そして海水が口から入ってしょっぱいを越えて辛い!!
けほ、と思わずむせてぶんぶんと頭を振る。これはいきなり飛び込むのは危険だ。下手したらむせるだけじゃなくて鼻に入って悶絶してた。
でもよかったかも。おかげでちょっとだけ頭スッキリしたし煩悩も一瞬飛んでったもん。不幸中の幸いってやつだ、うん。
このまま戻るのもなんだし泳いでもっと煩悩を削ぎ落としてこよう、と深い方に足を進める。
おっと、その前にちょっと準備運動しないと!泳いでる途中に足つったりしたら危ないよね。今浮き輪もないし助けてくれる人がいるわけでもないし。
太ももの半分あたりの浅瀬まで移動して背伸びをしたり軽く足首を回したりする。肩を回して腕を伸ばして「さぁいざ行かん!」と気合いを入れたところで話しかけられた。
「おー結構かわいいじゃん」
「ねね、今1人?ちょっと遊び付き合ってくんね?」
え、これわたしに話しかけてるんだよね?と一瞬ポカンとしてしまった。
なんかすっごいフレンドリーだけど初対面のはず、だよね。見たことないし…
「えーっと、わたし今から煩悩落としに行くので…」
ちょっと遊びに付き合うのは遠慮したいかもしれないと遠回しにお断りするものの相手さんは「じゃあ俺たちも」と便乗するらしい。


