放課後、まだかまだかとそわそわしながらHRが終わるのを待つ。
担任の先生がさよならの合図をするとともにわたしはわたわたと帰る準備をして。
「やっちゃんはこれから彼氏さんとデートかぁ」
「うっ……そ、そういうゆーみんは?」
「もちろん新しい出会いの場に、だよぉ」
ニッコリと笑ったゆーみんにさーやんは呆れた顔をした。
「あ、ねぇねぇやっちゃん。一度彼氏さんにお友達紹介してって言ってくれないかなぁ?」
「えっ!」
「弓、図々しいよ。弥生も気にしないの」
ほら、早く行ってあげな、と背中を押してくれるさーやんとゆーみんに手を振ってわたしは学校から飛び出した。
待ち合わせにしていた本屋さんに行くと、すぐに見慣れた大好きな姿を見つけて。
チラリと窓に映る自分の姿を確認してから息を整え、本屋さんの中に入った。
本屋さんは喧騒とか人の余計な声がなくて好きだって静くんは言ってたけど、静くんがいるだけで人は黙ったままではいられないらしい。
遠目から見ても静くんを気にしているお客さんがいるのが分かる。
わたしとあまり年の変わらなさそうな向こうの女の子たちもちょっときゃあきゃあしてるし。静くん、気づいてないのかな?