うつ伏せになり、顔だけをこちらに向けて寝ているやよと高さを合わせるように床に座る。



「やよ」



気持ちよさそうに眠っているやよを起こしたいわけじゃない。ただ、呼びたい。


それでいつもみたいに「静くん」と笑顔で俺を呼んでほしい。



(あれ、これって起こしたいってことになるのかな)



手を伸ばし髪に触れ頬を撫でる。くすぐったそうに身じろぎするものの起きる気配のないやよに苦笑が漏れた。


出会った時からやよはどこか抜けてて、警戒心なんてなくて無防備で。そのうちふわふわとどこかに行ってしまいそうで心配になる。


今だって男が一人暮らししてる部屋でこんなに無防備に寝ているし、これが他の男の人に対してもされていることだと考えたら怖い。さすがに大丈夫だと思うけど。


しばらくやよの寝顔を見ながらサラサラとしたやよの髪に触れていると「んっ…」と小さく動くやよ。


起きるかな、と手を引っ込めると。



「んー…しずか、くん…すき…」