思わず恨みがましく静くんを睨むように見上げる。


わたしの言いたいことが伝わったのかくすりと小さく笑った静くんにほっと力を抜いた途端ぺろ、と手のひらを舐められた。



「ひゃっ」



反射的に引っ込めようとした手を静くんが捕まえてそのままわたしの手のひらにちゅ、とキスをする。


目を閉じて手のひらに唇を落とす静くんはわたしとキスをしているみたいで。(いや一応手のひらもわたしなんだけど)


その色っぽさに今度こそわたしは当てられてずるずると壁を伝ってぺたんと座り込んでしまった。


静くんも後を追うようにわたしの体の両脇に膝をついて目を合わせる。



「っ、しずかくんの、いじわる…」


「やよが悪い」



そう言いながら機嫌は直ったみたいで、くすくすと笑みをこぼしながらわたしの手を引いて腕の中に誘い、ぎゅっと抱きしめた。


わたしも静くんの背中にそっと腕を回す。ふわりと包まれる静くんと紅茶の香りにほっと息を吐いた。



「ねぇ、静くん、今日はどうしたの?」



腕の中から静くんを見上げると困ったような表情がわたしを見る。


さっきわたしのせいって言ってたし、わたしが何かしちゃったのかな、と思ったんだけど。