合図とともに扉が開いて白い柔らかな光が降り注ぐチャペルの中をお父さんと一緒に進む。たくさんの視線を感じながら歩くたびにサラサラとドレスの布が涼やかな音を立てた。


不意に視線をあげればずっと仲良しだったさーやんとゆーみんの姿もあって、目が合うとさーやんは小さく祝福の言葉を送ってくれてゆーみんはニッコリ笑って手を振ってくれた。


そんな変わらない2人にわたしも笑顔を返して進んでいく。ゆっくりと一歩一歩が今まであった大切な軌跡。そして歩みが止まった先にいた大好きな人。これから一緒に未来を創っていく人。



「お父さん…今までありがとう」



こういうときはなんていえばいいのかずっと考えてたけどありきたりな言葉しか出てこない。でも、それが一番伝えたい言葉だから。


いつも温かく、時には厳しくしてくれたお父さん。どんな些細な思い出も胸に抱いて、大切な記憶として持って行ってくるね。


笑顔で伝えればお父さんは少しうるんだ目でわたしを見つめてから「あとはよろしく頼む」とわたしの手を放した。それに従ってわたしは手を伸ばす。



「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか」


「誓います」

「誓います」



ベールが上がって白く靄がかった世界が鮮やかな色を持つ。



「やよ、」


「大好きだよ、静くん」



先に言えば驚いたように目を丸くする静くんにしてやったりとニッコリ笑うと静くんは困ったように笑いながらそっとわたしの顎に手を添えた。



「俺は愛してるよ」



そっと重なった唇から言葉では言い表せられないぐらいの幸せがあふれてきて、わたしはうっとりとその幸福に酔いしれた。





唇へのキスは『愛情』の意味


あなたと誓った永遠の愛、これからどんなことがあってもその愛をあなたに捧げます