えへへ、と今さらのように照れくさくなって体を離すと目の前に現れた色鮮やかなものに思わずパチパチと瞬きをしてしまった。


淡い黄色とピンクでまとめられた小さめのブーケ。あ、わたしの好きなガーベラとかすみ草がある。



「静くん、これ…」


「卒業祝いにって思って。嫌だった?」


「そ、そんなわけないよ!」



こてんと首を傾げて困ったように笑う静くんにブンブンと勢いよく首を振る。あわあわとブーケを受け取ればほんのりと甘い香りした。


そう言えばちょっと前に何の花が好きって聞かれたような…そのときからブーケのこと考えてくれてたのかな?


わたしのことを考えて想ってくれていたことが嬉しくてにやけてしまう。うん、お祝いごとだし今日ぐらいは見逃してもらおう。



「やよ」



穏やかに柔らかく、いつもの眼差しでわたしを見つめてくる静くんに照れながらもわたしも見つめ返す。


手のひらが頰を包んで近づいてくる気配にドキドキしながらも目を瞑ると柔らかくてあたたかなものが額に触れて、じんわりとしあわせの温度を残してからゆっくりと離れた。



「これも卒業祝い?」


「ん、あとしたかったからかな。嫌だった?」


「ううん、嬉しい」



ふにゃりと笑みを浮かべれば静くんも嬉しそうで、思いきって静くんの額と自分のをコツンとくっつければ驚いていたけど照れたように微笑んだ姿に幸せだなぁと思った。





額へのキスは『祝福』の意味


あなたが新しい世界へ踏み出す一歩のその先に、幸せがたくさんあることを願っています