ゆーみんに「行ってらっしゃーい」と手を振られて静くんの方に行っていいとお許しをもらったのでお礼を言ってパタパタと小走りで静くんの元に駆けていく。



「やよ」



ふわりとそれこそ花が咲くように笑った静くんは春を誘う連れてくる妖精みたいに綺麗だ。こんなことを言うと困ったように笑うか拗ねるかのどちらかと思うので心の中でそう思っておく。


時間が経ったからかあまり人がいないけどそれだけ注目を分散させるものがないんだと考えれば静くんに視線がいってるような感じがして複雑だ。特に女の子の視線…白状するとやきもちです、はい。


パタパタと駆けた勢いのまま静くんに抱きつけば驚いたようだけどしっかりと抱きしめてくれて包まれる腕の感触に嬉しくなった。



「静くんっ、来てくれたの?」


「やよの卒業だからね」



走ったせいで乱れた髪を丁寧に整えて頰をくすぐる感覚にくすぐったくてクスクスと笑うと静くんも柔らかな笑みを浮かべた。



「卒業おめでとう」


「うん…ありがとう」