こてん、と首を傾げて微笑む静くんにかぁ、と顔が熱くなった。そんな当然のことだとばかりに甘やかすのはやめてほしい。それを当然だと享受してぐずぐずに溺れてしまいそうになる。


うぅ、と火照る頬を冷ましながら手を繋いで家に向かう間静くんはクスクスと笑っていた。


ちなみにお母さんにも合格の連絡を送ったら(証拠として静くんの撮ってくれた写真付きで)家族はそんなに心配していなかったみたいであっさりと「よかったわね」と返ってきた。


うん、ありがとう。でも軽すぎやしないかなお母さん。そうふてくされると「それだけ信頼されてたんだよ」と静くんが言ってくれて…本当にそうなら嬉しいなぁ。



「これでやよも大学生か」


「うん、静くんとお揃いだね」


「俺は今年で終わっちゃうんだけど…」



困ったように静くんは笑うけどわたしはあまり気にしていない。わたしが静くんと会ったときすでに静くんは大学生でわたしは高校生で。


その差がもどかしくて焦ったくて落ち込むこともあったけどやっと追いついた。次に同じぐらいに隣で歩けるのは大学を卒業して社会人になってから。


きっと静くんが社会人になっちゃったらまたその差にしょんぼりしたりもするんだろうけど今だけは並びあえてるから。そのことを楽しんでまた並べるときまで頑張ろうって思えるんだ。