「ご、ごめんね静くん!ご迷惑を…!」



あわあわと落ち着きなく手を動かしているとクスクスと笑う静くん。何がそんなに面白いのか。わたしの行動か。


そわそわするわたしに静くんは「気にしてないよ」とふわりと頭を撫でてくれた。


あのあとしばらく現実を受け止めきれずに硬直するわたしに対して静くんは不思議そうに目の前で手のひらを振って「やよ?」と言って。


微動だにしないわたしを見て反応が返ってこないことを早々に理解したのか冷静そのもののまま証拠入手とばかりにケータイで写真を撮った。静くん、お世話かけてごめんなさい。


そしてわたしの手を引いて人の邪魔にならない場所に移動してから我に返ってぐすぐす泣くわたしを抱きしめて好きにさせてくれた。


髪を撫でて頰に触れて流れる涙を拭って、優しく甘やかすように耳元で囁いて。うん、今思い出すだけでも恥ずかしい。顔から火を噴きそうになる。


しかも人様の邪魔にならない場所だったとは言え人気が全くなかったわけでもなかったのに…!!本当に申し訳ない。そして今なら羞恥で死ねる。



「いいよ、泣いてるやよを抱きしめるのは俺の役目でしょう?」