そろそろと顔を出すと「出て来たね」と悪戯っぽく笑いながらも優しい瞳がわたしを見つめていてかあっと熱が上がったような気がした。



「今は体のこと考えて。もう少しで試験でしょ?」


「うん…」



まだ熱が高いから治すためにも寝てた方がいいよ、と額に手を当てて熱を計る静くん。その手が離れる前にそっと掴めばびっくりしたみたいだけどわたしの好きなようにさせてくれた。


ひんやりと冷たい手のひら。わたしの体温がいつもより高いからそう感じるんだろうか。



「気持ちい…」



すりすりと頬ずりをして静くんの手のひらの温度を堪能する。冷えピタよりもずっと気持ちいい。


静くんの手、すべすべだなぁ。女子の身というか彼女としては羨ましいやら憎らしいやら。でも静くんっぽいかも。



「あのね、もうちょっとだけ待っててね。受験終わったら、いっしょにお祝いしよ?」


「そのときはやよの大学祝いもしよっか」


「ふふ、うん」



ぬくぬくしててほわほわしてて、とろりと眠気が落ちてくる。



「眠い?」


「ぅん……しずかくん、」


「ん?」



頬に触れていた静くんの手の甲に小さく口付けるとちゅっ、と小さな音がした。



「ありがとう…」





手の甲へのキスは『敬愛』の意味


不安なわたしのことをいつも優しく包んでくれて、不安を吹き飛ばしてくれるあなたはとてもすごいなぁと尊敬してしまいます