「城ヶ崎じゃん。え、勉強?」
驚いた顔で見る高瀬くんに、コクリと頷く。
「はぁーやっぱ違うなぁー」
高瀬くんの何気無い一言で、胸がズキンといたんだ。
‘‘住む世界が違う”。
そう言いながら、みんな私を遠ざけていく。
それは私が、この学園の中でも特に大きな財閥、城ヶ崎グループの令嬢で、成績が優秀だから。
こんな風に言ったら、ただの自慢に聞こえしまうのかもしれないけど。
おまけに私はプライベートで人と関わるのが得意じゃなくて、上手くコミュニケーションがとれない。
そうしていくうちに、入学してから約半年が過ぎた今、私に話しかけてくる人は滅多にいなくなったのだ。
高瀬くんはズカズカと自分の机まで行き、机の中から携帯を取り出した。
そして、少し恥ずかしそうに笑いながら、
「俺、携帯わすれちゃってさ。もう暗いし、あんたも帰れよ」
と言った。
こんなコミュニケーションがうまくとれない私だから。
だからこの時、私はその笑顔にドキッとしたのかもしれないーーーー