あれから数日後
私の日常生活はたいして変わってはいない。
唯一変わったのは、長瀬くんがたまに話しかけてくれるようになったことだった。
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「学級委員、これ後で職員室まで持ってきてくれ」
バサッ
放課後、先生がそう言って教卓においたのは、たくさんの書類。
学級委員は、私だ。
私は教卓に向かって歩く。
そのとき、どこから気づいたのか、男の子がその書類を持った。
「城ヶ崎さん、俺が持つよ」
その男の子は、軽くペコっと頭を下げる。
私が大財閥の令嬢ということもあってか、私への雑用は全て他の人が受けようとする。
「…いえ、大丈夫です」
私が、何かをするとでも思っているのかもしれない。
私は何もしない。
ただの生徒なのに。
「いや、俺が持っていくので、城ヶ崎さんは大丈夫です」
「あ…」
男の子はもう一度ペコっと頭を下げると、教室を出て行った。
私は学級委員なのに。
学級委員らしいことはできない。