『好きな子いるから』
その丘本の言葉が何故だか胸に突き刺さる。
分かりきっていて、私が一番知ってることなのにね。
『ありがとう』
丘本はあの子にそう言った。
あの言葉であの子はどれだけ救われたんだろう。
そろそろと私が隠れていたドアの影から出て行くと
「泣かせちゃった…」
と苦笑いする丘本。
私も苦笑いして返す。
「ちゃんとしてるんだね、偉い偉い!」
そう言って私が頭を撫でると
「当たり前だろ」
と言って笑った。
あぁ、まただ。
また、胸がなる。
最近の私はいつもそう。
でも丘本は華桜が好き。
そう思うと胸が痛んだ。