朱色の悪魔


組長は首を横に振る。

「潜入した者は正体を明かさず、そのまま待機。組長を引き留めながら」

「いや、無理でしょう。すぐに本家を捨てて逃げるでしょうし」

すぐに切り捨てられた案。正直賛成。

そんな甘くないと思う。どっちかと言うなら攻めてきた瞬間に殺すくらいならいけるだろうけど。

渋い顔をする組長に対してどこか清々しい情報屋のみなさん。まぁ、それなりの修羅場駆け巡って来た人たちだしね。

「組長、覚悟なら出来てます。我々1人くらいの命で枦が潰れるなら安い」

「しかし…」

やっぱり、父親は優しすぎる。ここは非道と言われようが確実に殺れる方法を選択するべき。

でも、その優しさがあるからこそ、慕われ、この人のために命を差し出すことができる。

でも、少し残酷かな?

「私がいきます。女の方が油断されるでしょう」

手を上げたのは20代くらいの女。

確かに潜入を専門とする彼女なら役目として不足はない。だけど、ね…。