朱色の悪魔


咳払いをして、場の空気を引き締めた父親。

次の瞬間、見せた表情は華月組、組長としての顔だ。

「ゼロが殉職した」

思わず目を見開く。長男さんは既に知っていたらしいけど、情報屋たちの方は息を飲む。

ゼロは華月組の情報屋の中でもトップを仕切っていた人だ。実際の顔は組長しか知らないほど、その存在は有名でありながらトップシークレットの存在。

そんな人が亡くなった…。

華月組の打撃は相当なものだ。組の重要な情報源を失ったばかりか、隠れて動いてる人たちの心理的ダメージが大きい。

情報屋たちも動揺を隠せず、困惑した顔を見せる。

「…それで、ゼロさんはどこに」

大分時間をおいて口を開いた30歳くらいの男。

父親は1枚のプリントを机に出す。それを手に取ったのは20代くらいの女。

それを覗き込む5人。その表情が固くなり、無言でプリントを手渡される。

そこに書かれていたのは某国からの密輸の証拠。そして、物の写真。

受取人になってるのは、この辺でも悪名高い組の組長…。