朱色の悪魔


「…はぁ、15分だぞ」

結局折れてくれたのは長男さんで。毎回そうだけど。でも時間がどんどん短くなってる!

でも文句を言ったら負け。長男さんが退いてくれたドアに手をかける。

「シュリさん、俺は廊下にいますよ」

運転手さんが苦笑いで廊下に出ていく。

部屋に残されたのは私と、昨日私がつってきたお兄さんだけ。

お兄さんに昨日の面影なんかなくて、顔が腫れ上がって誰だかわかんない。

お兄さんの視線がゆっくりと私を捕らえる。その顔は…ご想像の通り。

「お、まえ…」

「…お兄さん、お兄さんは次期組長じゃないよね?」

時間がない。だから、強引に聞き出す。

お兄さんの瞳が一瞬揺れた。でも、その後は揺れない。

「は?何言ってんだ。俺は組長の長男だぜ?」

「…そうだね。でも、捨てゴマだ」

「何を根拠に」

「もし、ほんとに次期組長なら、こんな不用心じゃない。裏が黒いほどね」

お兄さんが黙りこむ。今度はだんまり作戦?そんなの、させないよ。

「お兄さん、今華月の中で1番逆らっちゃいけない人、分からない?」

ポケットに押し込んでいた携帯と薬。それをお兄さんの前で揺らせば、流石に動揺したのか呆然とする。

「これ、さっきの人に渡せばあんたは用なしだ。殺されるよ?」

流石にそんなすぐにはしないけど。でも、脅し文句には最高だよね?

「お兄さん、生きたい?このまま、このチャンスを逃せばあなたは殺される。簡単に死ねるとは限らないよ。実験体にされるかもね?私の質問に答えてくれたら、警察に連れてってあげる。どうする?」