やがてたどり着いた階段の終着点。ここに入ったときと同じようなドアが並ぶ。
微かに漏れてくる音は鈍い音とうめき声、怒鳴り声。
ここに法律なんかない。ここに情などない。ここにあるのは非道なまでの正義だ。
「朱音様、来ちゃったんですか」
苦笑を浮かべて私の前に立つのは運転手さん。
「こっちですよ。朱音様は同じ景色で迷子になるので離れないでください」
運転手さんはあっさりと道案内してくれるらしい。しばらく歩いて行き着いたのは1番奥の部屋。
ここは万が一、逃走者が出てもいいように迷路のような構造になってる。そんなところの1番奥に閉じ込められてるってとこは相当な立場の人だって認識されてるはず。
だけど、ここに入る前から…。いや、彼をつったときからずっと感じていた違和感は消えない。
運転手さんがドアをノックする。そして、ドアを開け放った。
「ジンさん、シュリが」
「あ?」
うわ、長男さんブラッティーな…。
赤まみれな服に顔まで…。思わず顔がひきつったのなんて知らない…。
長男さんはため息ついて、私の腕をつかんで今入ったきたばかりのドアを潜って廊下に出る。
ドアを閉めて、長男さんはドアを背に私を睨む。
「何回言えば理解する?これは俺たちの仕事だ」
「…」
「朱音、出せ」
私のポケットを睨む長男さんは手を差し出してくる。
しばらく無言が続く。微かに漏れてくるうめき声。


