朱色の悪魔


異様なほど静かな廊下。まぁ、昨日捕まえたのが何人か知らないけど、捕まえた次の日はこれが当たり前だからしょうがない。

部屋を出て右に行く。食卓辺りを抜けて、組長のお部屋も事務所も抜けて。突っ掛けをはいてお庭に出る。

行き着いた先は厳ついお兄さんが2人で門番を勤めるいかにも出そうな扉の前。

お兄さんたちの顔が歪むのがわかる。

「朱音様、これより先は…」

「立ち入り禁止です。神哉様のご命令です。お部屋に戻ってください」

言われる前に言ってやった。お兄さんたち盛大なため息。

「どうせ止めても聞かないんですよね」

「最終的に笑顔でナイフ出すんですよね」

またおっきなため息。あは、分かってるなら形式的な話やめようよ。

お兄さんの1人がドアを開けてくれる。

うえ、生臭いと言うか。赤の臭いだね。いつものことだけど。

「朱音様が捕まえた人は若が自ら当たっています」

「へ?長男さんが直々に?」

それほど、有力な情報を持っている可能性が高いということ。

でも、なんかひっかかる。なら、どうして華月の囮にあっけなく引っ掛かった?

裏が黒ければ黒いほど、華月の情報には敏感になるはずだ。華月に見つかって、潰されない組なんて存在しないんだから。

だから、易々と引っ掛かってくれるはずがない。こちらも命がけで挑まない限り…。

まぁ、難しいことは後に考えることにして、地下へ繋がる扉の向こうの階段を降りていく。背後でドアが閉まる音。真っ暗な世界。

前髪を払って、隠していた左目で見て階段を降りていく。