朱色の悪魔


その後、居酒屋を出て、俺の運転で寮に戻ってきた。おやっさんは、寮の隣にある事務所兼自宅に帰っていった。

1人、寮の部屋に戻ると敷いたまんまの布団の上であぐらをかく。

『お前の行動は、死に向かってる』

おやっさんの言葉がまた戻ってきて、何となく部屋を見渡す。

何もない。必要最低限の布団と作業着にスウェット。それに、ここに来たときに着てた服とボロボロの財布は穴空いてた。

備え付けの家電は電源が引っこ抜かれてて、当たり前のようにそこにあるだけの物と化す。

…確かに、まともに生きてるやつの部屋じゃないかもしれない。

そして、鏡を見たかというのも思い出して、洗面所に備え付けの小さな鏡に自分を写す。

髪はボサボサで、無精髭なんか生えてる。頬は痩け気味だし、くまがひでぇ…。

「…何やってたんだ、俺」

これじゃあ、死に向かってるなんて言われるわけだ。

…朱音が見たら怒るんだろうな。

食べろって、自分も食わないくせに。でも、髭は嫌がってたな。親父の髭がちょっと生えてるだけで、よくシェービングクリームと髭剃り持ってきた。

…今の俺、あいつに嫌われる要素の集合体じゃねぇか。