朱色の悪魔


「魁、免許あるな」

「え、あ、はい」

「ん」

おやっさん、飲むのか…?付き合わされたことないからよくわからない。

おやっさんが運転した先は、やっぱり居酒屋で。なれた様子で店内に入っていくおやっさんに続いて慌ててのれんを潜る。

「いらっしゃいませ!!あー!親父さんじゃないっすか。今日は座敷っすね。どうぞ!!」

声のバカでかい店員とおやっさんは知り合いらしい。何もいってないのに通された座敷なおやっさんと向き合って座る。

こういう時、どうすんだろ。勝手に注文すべきなのか?でも、おやっさんなに飲むんだろ…。

黙ったままでいるのが気まずいのに、言葉は出てこなくて、黙りこんでうつむくことしかできなかった。

「失礼します!!日本酒と唐揚げ、なすの1本漬けに…」

「っ!?は、え?」

なんも頼んでないはずなのに、あり得ないくらい運ばれてきた料理たち。品の名前と同時に次々に差し出される皿を、机に並べるので必死になる。

「以上ですね!ごゆっくり!!」

…やっと終わった。運ばれてきた料理で埋め尽くされた机の上。おやっさんは…日本酒飲んでた。やっぱり飲むのか…。

店員がいなくなったとこでまた静まり返る部屋。運ばれてきた料理に手をつける気も起こらなくて、ただ黙っていた。