朱色の悪魔


「おつかれさーん」

「お疲れ様です」

今日の作業が終わって、口々にあいさつを交わしながら先輩たちは家へ、ヒロと俺は寮に帰る。

おやっさんは結局、あれから聞いてくることはなくて、昼を食べ終わると何事もなかったかのように去っていった。

「あ゛~彼女のとこいきてぇ…」

「…女いたのか」

「おう!高校の時に知り合った。顔はかわいいのにうるせぇのが傷だな」

「ふーん」

「魁は?いねぇの?」

言葉がつまる。いないのかと言われればいないとしか言えない。

でも、心の中ではあいつしかいなくて、生きていないと分かっていても、俺には朱音しかいない。

そんな俺が誰かと付き合うとか、考えられない。

「魁?…っまさかお前…」

「んなわけあるか」

言われる前に頭殴って黙らせる。流石にそれはない。

ぶつぶつ言い始めたヒロはため息を漏らす。

「なら、別れたとか?」

「…」

別れた…。そんなこと考えもしなかった。