朱色の悪魔


「なーにが大体はだ!作業途中よくボーッとしてるくせに」

「っい!?」

「今日もボケッとしてたよな」

先輩たちの言葉には何も言い返せない。実際その通りだ。

おやっさんの視線は俺に向いたままで、責められてるような気になる。

「…すみません。どうしても、この空見たら集中きかなくて…」

俺の言葉に、一瞬静まり返る。だけど、次の瞬間、誰かが吹き出すのとほぼ同時に笑い声に包まれた。

「は?冴木お前、空見て感動しちゃってんのか?」

「お前、かわいいとこあんだな」

ゲラゲラと遠慮のない笑い声と共にバシバシ背を叩かれる。

うまく笑えないのを誤魔化して、それ以上は何も言わなかった。

なのに、おやっさんだけはいつもの無表情のまま、俺をまっすぐに見つめたままで、それに気づかない振りをして弁当を食べ終えると逃げるようにその輪から外れた。