朱色の悪魔


思わずため息をつきたくなる。

今さら謝罪?ふざけるのも大概にしてほしい。

私はそんなもの、欲していないというのに。

「朱、頼む。それを下ろしてくれ!!」

「…うるさい」

引き金を引く。直後に衝撃と研究者の悲鳴が重なる。後は、右腕だけ。

だらりと右手以外の四肢を投げ出した格好で、研究者はわめく。血走った目で私を映す。

「ッお前、自分が何をしようとしているのかわかっているのか!!僕を、僕を殺せば人類はせっかくの武器を手放すことになるんだぞ!!僕が死んだら、人類は素晴らしい武器を捨て…」

「そんなもの、必要ない」

研究者が口を閉ざす。今までの流暢な口は言葉を失ってしまったようだ。

拳銃を研究者の鼻先に据えたまま、まっすぐに見下ろす。

「戦争の道具は、ここで破棄される。その方がよっぽど世界平和のためだろ」

1歩、近づく。研究者は後ずさることもできずその場に縫い付けられたかのように動かない。

「それに、お前は人の理を破ってる。生きている資格なんかない」

「ッ生きる資格がないだと!?お前にッ!そんな権限がどこに!!」

「そっくりそのまま返すよ」