朱色の悪魔


「魁!行くぞ!!」

「あぁ!!」

長男さんの声に魁の手に力が入る。

殿を持つ次男さんと三男さんを背に弟くんは長男さんの後に続いて走り出す。

部屋を出る直前、視界に飛び込んだのは事切れた研究者の姿。だが、その姿もすぐに視界から消える。

廊下にも鳴り響く警鐘。赤いライトが白い廊下を照らし、まるで世界全体が赤く染まってしまったように見える。

薄くかかる煙を断ち切るように走り抜けていく魁の息づかいが耳のすぐそばで聞こえてくる。

「総員撤退だ!!」

地下牢へと続くドアの前で、捕らえられていた人たちを救出していた部隊がこの異変に困惑した様子で待機していた。

そんな彼らは組長が告げた言葉に即刻動き出し、救出した人を運び出していく。

だが、ほぼ外へ出し終わっていたのか、残っていたのは向かえ側にいたあのおじいさんと数人だけだった。

これだけ焦ると言うことは、この付近から地上の安全圏への避難には、10分という時間ではギリギリなのだろう。

自爆装置が作動してすぐ動き出す必要があるほどに…。