神哉兄貴が怒鳴っても2人の意見は変わりそうにない。
朱音を突き放そうとする留榎兄さんと由羅兄貴に対して、朱音を守ろうとする神哉兄貴。
…聞きたくなかった。
家族が崩れていく話を、聞きたくなかった。
朱音が、遠くなるのを実感したくなかった。
『魁』
滅多に呼ばないくせに、抱いたときは何度も呼ばれて、呼ばれる度に高ぶることをあいつは気づいてなくて、それが、なによりもいとおしくて…。
普段そっけないくせして、顔を真っ赤にさせて恥じらう朱音はただの女の子で…。
あいつは、ずっと怖がってた。
自分のせいで誰かが死ぬのを恐れていた。
だから、仮面を被った。だから、名前を呼ばなかった。だから、そっけなかった。
本当は、すぐに崩れ落ちてしまうほど弱って、ボロボロたったくせに、強がって生きてたんだ。
朱音は、そばに誰かがいないとすぐに壊れちまうのに、1人になろうと必死で、強がってた。
なのに、なんで、朱音を責めてるんだよ。
違うだろ。朱音は、あいつは、被害者なんだよ…。
いまだに続く言い争い。そんな言い争いが頭に来る。


