「留榎、まだ、朱音を憎んでるのか」
親父の一言にぞっとした。
朱音を憎んでる…。数年前の留榎兄さんはまさにそうで、朱音に危険な仕事ばかりを押し付けていた。
神哉兄貴が気づくまで、朱音はそれが当たり前だと思って無抵抗だったらしい。
もし、留榎兄さんがあの時から変わっていないのだとすれば、朱音を元に戻すって言ったのも、嘘だったのかよ…。
違うって言ってくれ…。
留榎兄さんは、ため息をつくと苦笑する。
「…はぁ、そうですよ。正直に言えばね」
親父の杞憂であってほしかった。
本人の口から、そんな堂々と言われると、あの約束は、やっぱり果たされない…。
「ッ!?留榎!あれは朱音のせいじゃないって言っただろ!!」
「例えそうだとしても!!あいつが母さんを殺したことに間違いはない!!」
神哉兄貴の言葉に正面からぶつかった留榎兄さんは、普段の柔らかさなど忘れたように鋭い目をする。
憎しみに染まった瞳は、朱音のことなど家族とも思っていない。そんな目だった。
「あいつさえ、ここに来なければ…。あの研究施設で死んでいれば!母さんは死なずに、今こんな事態にもならなかった!!」
「留榎!」
「留榎兄貴の言う通りだぜ。親父も、神哉兄貴も!いい加減家族ごっこはやめろよ!!」
留榎兄さんの言葉に、黙っていた由羅兄貴まで声を荒げる。


