由羅兄貴のことは親父に任せる。
それより今は一刻も早く朱音を連れ帰らねぇと。
膝に手をついて立ち上がる。部屋を出ようとしたときだった。
「魁、待って。まだ話は終わってない」
「は?」
留榎兄さんの言葉に神哉兄貴も親父も眉を潜める。
そのまま突っ切れず、仕方なくさっき座ってたところに戻った。
「朱音を連れ戻すのは反対」
「ッ!?なんでだよ!!朱音はあの研究者に捕まってんだぞ!?それに、今留榎兄さんが言ったんだろ!!朱音をあいつらに引き渡したのはまずいって!!」
「落ち着いて、魁。確かにそう言ったけど、それはあくまで朱音が無抵抗ならだ。あの子がおとなしく捕まっていいようにされてるとは思えない」
「留榎、てめぇ。朱音に1人で蹴りつけささせるつもりか」
神哉兄貴の一言に黙る。
蹴りって、何のことだよ…。
留榎兄さんはなにも反論しない。ということは、神哉兄貴の言ったことを肯定するってことか…?
神哉兄貴が腰を上げようとして、親父が止める。留榎兄さんを見つめる親父はなぜか悲しげに見えた。


