朱色の悪魔


留榎兄さんはため息をつくと呆れた顔で由羅兄貴を見る。

「由羅、朱音を引き渡したのは賛成できないよ。あいつらが研究を進めたら今以上に被害が出る」

「ッ…でも、あいつはもう死ぬんだろ!!研究なんか進められるわけがッ!」

「研究者をなめるなよ、由羅。朱音を植物状態にさせてでも、ただの延命なら僕にも出来るんだ。朱音が生きてさえいれば研究を進める時間は稼げる」

留榎兄さんの言葉にぞっとする。

もし、留榎兄さんの言うことが本当なら、朱音はずっと囚われ続ける。

それだけじゃない。朱色の悪魔が量産され、朱音のような子どもたちが増える。

そんなことになれば、兵器として産み出された子どもたちが、そのように使われたとすれば、日本が…いや、世界が大混乱になっちまう。

由羅兄貴もそこまで考えていなかったのか顔色を悪くさせる。神哉兄貴が由羅兄貴を睨む眼光が増す。

親父は顔色1つ変えなかった。その顔は終始険しいままだ。

「とにかく、朱音を探すぞ。由羅、覚悟はしておけよ。華月がぶれればこの世界全体が揺らぐ。お前がしたことは重罪だ」

「…ッチ」

由羅兄貴はなにも反論できずに歯を噛み締める。