「お前さ、“X”の幹部だろ?」
弟くんの動きが止まる。
へぇ、ただのおバカさんじゃないみたい。聞いてるくせに確信に満ちた目をしてる。
弟くん、どうする?
弟くんは無言でおバカさんを睨み付けてる。幸い声は大きくなかったから、他のクラスメイトが気づいてる様子もない。
「何が目的だ」
「それはそうだって言ってるってことだよね?」
「…」
「やっぱり。でもおかしいな。冴木なんて名字じゃなかったはず…」
「あんまり踏み込むと、俺はお前を消しとかなきゃいけないんだけど?」
弟くんの目が細められる。それは、ケンカの合図。
それを見たおバカさんは急に慌て出した。
「違う違う!ただ、“X”の幹部に会えたってのが光栄で…」
「…好奇心で踏み込むな」
「え、あ…そうだよね。なんか2人とも訳ありって感じだし…。分かった。もう聞きません。でもさ、普通に友達ならいいでしょ?」
そう言いながら差し出された手を弟くんはめんどくさそうな顔でおバカさんを見る。
でも、ため息を吐き出すとその手を握り返した。
その途端、おバカさんの顔がキラキラした。


