朱色の悪魔


研究者を睨む。研究者はニヤニヤしてるだけ。

あの時からほんと、なんも変わってない。

私を、実験体としか思ってない、あの目だ。

「会いたかったよ。朱」

「…」

「さぁ、こっちにおいで」

手を伸ばしてくる研究者。弟くんと三男さんは拘束されたままだ。

…このまま、私があっちに行くのはダメだ。

「2人をこっちに返して。そうしたらそっちに行く」

「僕がキミ以外に興味があるとでも思っているのかい?」

「あんたが研究のために何でもするってことが分かってるから言ってんだ」

心外なと言わんばかりの顔をする。

研究のために何人もの人の人生を、命を奪い去った奴が何を…。

「…OK。それじゃあこうしよう。人質を1人そちらに返そう。キミがこっちに来ればもう1人も解放する」

「ダメだ。2人ともこっちに返して」

「…うーん。キミはよく頭が回るって噂だったけど、そうでもないのかな?この状況、本当ならキミに…」

「お前こそ、分かってないな。あんたは、私の指示に従わなきゃいけない。…なぜなら、私自身があんたにとって人質なんだからさ」

ポケットから取り出したナイフを自分の首に突きつける。

研究者の表情に初めて焦りの色が浮かぶ。