朱色の悪魔


お互いに黙ったまま時間が過ぎる。

お互いに譲る気なんかないから話が進むこともない。

「あれ、モモちゃんじゃん。どうした?」

「…おにーちゃん久しぶりー!モモ寂しかったのにぃ」

「わりぃな。ちょーっと面倒があってよ」

「えぇ、おにーちゃん悪い人ぉ~」

媚びた笑みをつくって、前から歩いてきた大学生くらいの青年に駆け寄る。

その腕に絡み付くように身を寄せれば、悪い笑み。

「寂しい思いさせたお詫びに今日はいっぱいおこづかいやんよ」

「ほんとー?じゃあモモのこといーっぱい好きにしていいよ?」

「んじゃ、遠慮なく?」

「優しくしてね?」

撫で回される肩が気持ち悪い。でも、私はこうするしか能がないから。

クロさんはいつの間にかいなくなってて、私は名前も知らない青年と共に歩き出した。