朱色の悪魔


死ぬから何。

私はたまたまあの実験で生き残っただけに過ぎない。

それに、そんなこと。何となく分かってた。

体が動かなくなっていくのも、それに伴い増えていく薬も、あー多分本物の悪魔が近づいてるんだって感じてた。

正直今だって立ち続けていることさえ億劫なんだ。

自分の体の変化くらい何となく察してんだ。それが明確な数字として提示されたくらいでがやがや騒がないでほしい。

睨み付けるとクロさんは驚いたように目を丸くさせ、やがて鼻で笑う。

「くよくよするたまでもねぇか」

「そーいうこと。まぁ、死ぬ前にちゃーんとクロさんのことは華月に教えておいてあげるから。楽しみにしててね」

「ふざけろ」

クロさんはそうやって吐き捨てると路地の奥に進んでいく。

それを見送って、壁から離れた。

「…寿命ねぇ」

胸に手を当て、心臓の鼓動を聞く。

ねぇ、いつ止まる予定?そんなに時間もないんだろうなぁ…。

なら、私がすることは1つだけだ。

賑やかになり始めた繁華街を離れ、華月の本家に戻る。

相変わらず、こっぴどく叱られて、足がビリビリになって歩けなかった。