弟くんはまだ囲まれてた。でも、不機嫌。
「ねぇ、名前は??」
またか。でも今度は気の強そうな女の子。
その目は敵対の色に染まってる。弟くん、私に被害出さないで。
めんどくさいからさっきの男の子に見せた紙をもう1回活用。女の子たちはびっくりした顔した。
「え?冴木…?さん?」
「え、てか喋れないってマジで!?」
いろんな意味で混乱した女の子たち。喋るなら筆談しないよ。してるけど…。
弟くんの回りを囲んでた子達もびっくりして、沈黙が走った。
「え、え、2人ってきょうだいなの!?」
「双子ー!?」
うわ、もっとうるさくなった。耳がキーンってなるよ。キーンって。
耳塞いだけど、全然効果ないね。
「ねーねー、双子なの!?」
「てかなんで同じクラスなの!?」
質問攻めだ。好奇心に満ち満ちた顔は怖い。知りたいくせに、都合の悪いことはなかったことにする。
話したことも、自分が興味を持ったことも。
全部全部なかったことにして、自分から近づいた事実をいつの間にか打ち消してしまう。
そして、知ったことは、相手を陥れる武器になり果てる。
分かってる。何回繰り返した?何回なかったことにされた?何回裏切られた?
もう、繰り返すのはこりごりだ。


