朱色の悪魔


真っ赤に染まった手と膝。普通なら、あり得ない。

魁は、おろおろして、やがて家の中に飛んでいった。庭で一人で泣く泣く私は、自分でも知らないうちに顔を血で汚していた。

「え!?朱音!?」

驚くのも無理はない。ただすっころんで擦りむいただけのはずなのに、血まみれになっていたのだから。

魁たちの母親であり、研究者だった母は、戸惑いながらも私に近づき、そして、血で染まった私の頬を素手でぬぐった。

それが、彼女の命を奪うことさえ知らずに。

「っぐ!?」

「ママ?」

急激に赤は彼女の体に入り込み、犯していく。

体をくの字に折り曲げた母は、まさかと、信じられないと言うように私を見た。

母の急激な変化に驚いて泣くのも忘れた私は、呆然と母を見つめる。

「そ、んな…っあぁ!?」

「ッ!?パパ!!パパ!!!」

異変を素早く察知した魁は、家に転がり込んで父を差がしにいく。

その間にも、母は朱色の悪魔に犯されていく。

「っあかね!ごめんね…」

「え?」

母の、最期の言葉は謝罪、だった。

それからは、切断魔が響き渡り、母は絶命した。父をつれて戻ってきた魁が見たのはことが切れた母の姿。

父は、なくなった妻と血まみれの私を信じられないような目で見つめた。

それからのことは、よく覚えていない。ただ、私が兵器であるということを、みんなが自覚した。

それだけ、だった。

当時、私と魁が7つ年を数えた年、だった。