あれから、年単位での時が過ぎた。
私は、朱音として育てられ、人となり育てられた。
言葉を、人を、家族を学んだ。
華月朱音は、華月魁の姉で(生まれた順の関係というだけ)、華月神哉の、華月留榎の、華月由羅の妹になった。
「朱音ー!」
「うきゃ~!」
魁とは仲良しだった。
いつも遊ぶのも寝るのも何でも一緒だった。
大暴れして神哉兄さんから怒られるのも一緒。
勉強が嫌で留榎兄さんから逃げるのもいつも一緒。
とにかく何でも一緒にやって、華月家にとってはちょっとしたトラブルメーカーだった。
そんな幸せは持ってはいけなかったんだ。
ある日、いつも通り魁と遊んでいた時だった。
「っあう!?っん…ふぇぇええん!!」
「朱音!?」
庭を駆け回っていて思いっきり転けた。そんなことよくあることだ。
でも、私の場合はそれはまずいことだったんだ。膝を擦りむいて、血が溢れた。
自分の血を見たことがなかった私は、驚いて大声で泣いた。
よく見れば手にも擦り傷があって、血が溢れた。普通なら、血が出るような怪我ではなかったはずなのに。


