朱色の悪魔


私をそこから連れ出したのは、私に声をかけてきた研究者だ。

何かに乗せられ、運ばれていく。

何かに張り付けれられてでの移動は何度か経験したが、こうして誰かの膝の上での移動は初めてだった。

「アカネ、ドウシタ?」

怖かった、のかもしれない。

何をされるのか、苦しくなるのか。知らない景色はいつだって恐怖だった。何が起こるか分からないから、怖くて仕方なかったんだ。

だけど、その一方で外に広がる景色が不思議で仕方なかった。

たくさんの色と音に溢れ、人が行き交っている。

何もかも分からなかったけど、白の部屋と実験室以外の世界を知らなかった私は、ただただ新鮮だったんだ。

人で溢れる世界が、ベッドに横たわっていない人が不思議で仕方なかったんだ。

やがてたどり着いた場所に私は、無意識に警戒心を上げていた。

真っ黒なのだ。左右に1列に並び、見事な整列をなしている。怖い。素直にそう思った。

「「「「「ーーーーーーーー」」」」」

おまけの大音量の挨拶。もちろん飛び上がった。大音量は、あの研究者たちを恐怖に陥れ、大混乱を招いたのだから。

また、なにか始まるのだろうか。

研究者は恐れもせず左右を黒で固めた人たちの間を通っていく。必然的に抱かれている私も連れていかれた。