朱色の悪魔


次に目が覚めるとは思っていなかった。

「ーー、ーーーー」

声が、かけられた。意味は分からない。

視線を向けた。また、白い人たちだった。

あぁ、まただ。

簡単に諦めた。また、同じなのだと。

少し違ったのは、寝かされている場所がカプセルの中のようで、その閉塞感に安堵したのだ。

この壁がある限り、私は傷つけられないのだと、安堵した。

すぐに、意識は落ちた。

「ーー、ーーーーー」

奇妙なことがある。目を覚ますとガラスの向こうの白い人はガラスを叩き、なにやら声をかけているのだ。

そして、目尻が下がり、口角が上がる。なぜだか、見たこともない顔を向けてくる。

目覚める度にそれは繰り返された。

ある時、この人の言っている音を拾ってみた。

「ヤァ、オハヨウ、アカネ」

どうやらそう言っているようだ。

それの意味はやっぱり分からなかった。

でも、その人はだんだんと、起きたときだけでなく、声をかけてくるようになった。

「アカネ、ンー?オーイ、アカネー?」

「アカネ、ツマンナイダロ?ソトデアソビタイダロ?」

「アカネ、イエクルカ。カイモヨロコブ」

唐突に、ガラスは開いた。

感じたのは恐怖だった。

ここは確かに丁重に扱われていたが、ついに苦しくなるのかと覚悟した。

だが、恐怖の方がずっと上で、ほぼ無意識に失禁したが、白い人たちはなにも怒らなかった。

むしろ、抱き締めてくれた。

「ーーーーーーーーーーー」

何を言っているのか分からない。だけど、抱き締められたことのない私は、その行為に酷く安堵した。