2ヶ月が経過した。
朱音は目覚めないまま、あのカプセルのような狭い中で眠り続けてる。
夏休み…親父が決めた期間もあと1週間を切ってしまった。
連日のように訪れては居座っているのに、ここは嫌いなままだ。
「魁、また来てたの?」
「…」
「朱音、呆れてるんじゃない?」
兄さんの手には大量の薬。
朱音を目覚めさせるためにありとあらゆる手段を兄さんが試し始めて既に3週間。
でも、朱音が目を覚ますことも意識レベルが回復することさえない。
ずっと、昏睡状態のままだ。
「兄さん」
「ん?」
「手だけでいいから触らせてくれ」
「…5分だけね」
兄さんは苦笑して、何かの操作をする。すると、朱音を隔離していたカプセルが開いて、こもっていた消毒液のような臭いが鼻につく。
そっと朱音の手に自分の手を重ねると、僅かに温もりがある。強く握り直し、何度も指を絡める。
「バカだろ。お前ベッドで寝れねぇんじゃなかったのか」
こんなぐっすりベッドで寝やがって。起きたらベッドに寝かせるからな…。


