夢が醒めなくて

忸怩たる想いを抱えたまま、元カノを訪ねても逆効果かもしれない。
さあ、どうしたものか。

ボランティアサークルのメンバーを思い出して、ため息をつく。
真面目な奴らだったよなあ。
どこでこじらせてしまったんだろう。
今さら、俺自身や父親が悪く言われるのはかまわない。
慣れてるし、言われても仕方ないとも思う。

でも、子ども達に聞こえるところで言われてしまうとなあ。
たとえ悪意がなかったとしても、その影響力はわかるはずなのに。
めんどくさい。
でも、ほっとけないしなあ。

とりあえず、サークルの中でほとんど言葉を交わしたことのない女の子にメールしてみた。
翌日、彼女、堀正美嬢が行きたがったレストランでランチをとりながら、いろんな話を聞き出した。
北摂の山間は、京都とは別世界のように涼しかった。

「だからね、ほら、よく言うやん。『リア充爆発しろ』『リア充死ね』。竹原くんって、リア充の代表みたいなもんでしょ?」
自称ヲタクの正美嬢は、緊張をしてるからか、これまでとは別人のように饒舌だった。

「リア充……ねえ。そんな派手な生活してへんけどなあ。」
そうぼやきながら、ガス水で喉を潤す。

正美嬢はじっとソレを見て指摘した。
「ほら、それ。非リアには、ペリエなんか頼むスキルないし。」

「……そうなん?……いや、でも、車で来てるし、酒、飲めへんしなあ。」
食べながら、そして会話しながらも、正美嬢はずーっと俺を観察していた。
最初は戸惑ったけど、だんだん慣れてきた。

「そんなに珍しい?正美ちゃん、めっちゃ見てるけど。」
開き直ってそう尋ねると、正美嬢は赤くなった。

「ほら!あっさり、ちゃん付けで呼ぶとか、どんだけ女慣れしてんねん!やわ。……珍しいですよ。てか、色気だだ漏れですよね。腐女子的には、攻めと受けとどっちが似合うやろうって、観察しちゃいます……って、何、カミングアウトしてんだよ、私!あああああ!」

「わかったわかった。壊れてるよ。正美ちゃん。大丈夫?落ち着いて。はい、これ飲んで。」
正美嬢にグラスを持たせて落ち着かせようとした。

……しかし、攻めと受けって……BLだよな。
さすがに、笑顔がひきつってるかも。


「じゃあ、結局、俺がリア充やから、嫌がらせされたんかなあ。」
しばらくししてから、そうぼやいた。
正美嬢は、言いにくそうに顔をしかめた。
「……おもしろがってるんやと思う。明確に嫌がらせって言うよりは、珍しく竹原くんがボロだして、壊れてってるから、集団でネタにしてたのを子どもらに聞かれちゃったんじゃないかな。レベル低いわ~。」

そんなに単純なことなのか?